この夏の初めころから、星とお日さま葉山里山学校にいらっしゃる5歳の女の子がいらっしゃいます。
里山学校にいらっしゃったその日から、その子はいつもみんなの中心にいます。
中学生男子たち、小学生女子たちが、いつの間にかその子の周りに集まってきて、パプリカを一緒に歌ったり、振り付けをして見せたり、電子ピアノを弾いてあげたり…。
今ではその女の子はパプリカの歌や振り付けも、とても感情豊かに、指先まで心を込めて、なりきって踊っているのがよく分かります。
気がつくと、みんな調和してリズムをとり、歌って踊っています。
はじめの頃は、言葉がはっきり聞き取れないこともしばしばありました。
でも、そんなことを気にする人は一人もいません。
なぜかというと、誰も言語的にその子が言っていることを理解しようとしないからです。
その子は、存在そのもので話しかけてきますし、学校に行きづらい中学生や小学生たちも、自らの存在そのもので向き合っているからです。
ボキャブラリーがどんどん増えてきて、ボディランゲージも一緒に豊かになってきていることがまた、私たちの喜びです。よく気を付けてみていると、いつもだれかがその子に「ありがとう。」と言っています。
その子はまだ、自分の足で歩くことに限界があります。
でも、胡坐をかいて背筋をすっと伸ばし、シャキッとする回数が目に見えて増えてきました。
小学生に支えられて立つことも、支えなしにそのまま立っていることも、日に日に多くなりました。
その子は、とても優しい笑顔でみんなを見てくれます。
その子の笑顔にみんな大喜び!
「多様性のなかにこそ豊かさがある。」
星とお日さま葉山里山学校の校長先生を引き受けて下さった、明星大学教育学部教授星山麻木先生のお言葉。
「すべてのことは『共に在る』ことからはじまる。」
里山学校のスクールカウンセラーを引き受けて下さった、大賀たえ子先生(大賀 野のはなカウンセリングセンター長)のお言葉。
それを子どもたちが普通に見せてくれる瞬間瞬間に立ち会える喜び。
その子のお母様は、娘さんの存在そのものに向き合っておられます。
他の子と比較した成長や発達という見方はほとんどありません。
そしていつも娘さんと「共に在る」。
心無い行政の対応に傷つくこともあるでしょう。
幼稚園や保育園選び、将来のことなど、心配事もたくさんあるでしょう。
でも、お母さまはいつもその子と「今、共に在る」。
その子もいつもお母さまと「今、共にある」。
里山学校にいらっしゃる子どもたちも、その保護者の方々も、スタッフもみんな、いつも「共に在る」。