タロウさんの欲求不満 Part2

タロウさんの欲求不満 Part2です。
タロウさんが、皆さまとのもっと深いコミュニケーションを求めていると、前回「タロウさんの欲求不満 Part1」でお伝えしました。

1月30日(水)、葉山ハーモニーガーデンの馬の先生(大塚千晶先生)が、タロウさんとルーカスのトレーニングを兼ねて様子を見にいらして下さったので、その時の様子をご紹介します。

大塚先生は馬場に入ると、まずゆっくりとタロウさんとのひと時を過ごします。
何もしません。
何もせず、ただ寄り添い、「ともに在る」だけ。
傍から見ていると、「ただいるだけ…」に見えます。
でも、このひと時がとても大切なひと時です。
(この時間、私は馬場をはずします。)

何もしていないように見えるこのひと時の間に、タロウと大塚先生はさりげない会話をしています。
タロウのまばたきと視線の動き、耳の動き、聞こえる音。風の向き。
呼吸のリズム、大塚先生に向ける体の方向。

これに対して、大塚先生もまばたきしたり、体の力を抜いたり、体の向きを変えたり、つま先の方向が変わったり、タロウとの物理的距離が数センチ単位で近くなったり遠くなったり。

大きな動作のない、お互いの静かな「呼吸」のやりとりです。

二人は静かに会話していて、タロウさんの「やろうかぁ。」という気持ちを、大塚先生が察した時、トレーニングが始まります。
大塚先生には、「今日は何をやろう」というカリキュラムのようなものはありません。それはどんな時も馬の方から「今日はこれがやりたいな。」と言ってくるからだそうです。馬の自主性が出てくるの見守り、寄り添って、馬のやりたいトレーニングから始まるのです。

概ね、私たちの日常は、まず最初に「こうなって欲しい。」とか「こうなりたい。」という理想があって、
そのためには、「なになに」を「いつまでに」、この「レベル」まで、と来て、そしてそれが「計画的」になって、その計画通りに行けば〇マル。でもそうならなければ、自分や誰かを責めたり、1人で焦ってしまう。

事業とかプロジェクトなどはそれでいいのですが… まぁ、それはさておき。

大塚先生が、馬たちからの「これをやりたい!」という「自主性」を、コミュニケーションの優先順位先頭に置くのは理由があります。
人間の側の「こうなって欲しい。」を優先すると、「馬」が壊れることがあるのです。フィジカル(身体的)にも、メンタル(心理)的にも。
ところが(逆説的なのですが)、馬の自主性を先にすると、はじめの人間側の「こうなって欲しい。」を超えるところに、「馬」が自分のペースで行くのだそうです。
最小限の人間の働きかけで、馬が最大限に素晴らしい光景を見せてくれる…
何か、、「星とおひさま葉山里山学校」と同じような… それはまた別の機会に。

タロウさんと大塚先生のトレーニングが始まります。
タロウさんは、リードなしのリバティ(自由)。
タロウさんは「オッシャー!フンガァー!」と、いきなり駆足(かけあし)します。
大塚先生は、さりげなくそれを抑えて方向変換(手前を変えて)して速足(はやあし:人間の早歩きのことです。)に減速させます。
手前の変換も、歩様変換も、大塚先生のちょっとしたボディランゲージ (体の向きや足の運び、指差し、舌鼓(ぜっこ)など)での会話です。
右回り、左回りの手前変換と、常足(なみあし:普通に歩くこと)、速足、駈足の歩様変換をしばらく続けます。

走っては緩め、緩んでは走り、そして歩いて、また走る。左回り、右回り。

タロウさんは大塚先生の「指示」をわざと「スルー」したり、「指示」されていない歩様をしたりして遊び始めますが、大塚先生はある時はそれを許し、ある時は毅然と「指示」を継続したりして、徐々にタロウとの「心」と「体」のスタンスを確固たるものにしていきます。
トレーニングのはじまりはだいたい、いつもこんな感じです。

駆足(かけあし)で走り出すタロウさん。    反対回りで速足(はやあし)に減速。

途中でタロウさん、馬場の角に逃げました。
こういう場合、タロウさんはトレーニングが「イヤ」で逃げているのではありません。タロウさんの気持ちを「感じて」、「察して」いる大塚先生は、距離を詰めてタロウさんにプレッシャーをかけることなく、離れた所から「停まらないで左に進むんだよ~。」と指示します(写真下左) 。
タロウさんが「あ、ハイ、ハイ。」と言って歩き始めると大塚先生の左手は下がります。(写真下右)
大塚先生の「指示」はいつも短く、通じた瞬間にはニュートラルに戻ります。

タロウ脱走~。大塚先生とタロウさんの距離が絶妙です。

また歩き出したタロウさんに「さぁ、駆け足しよう!」と伝える大塚先生。
大塚先生のほんの少しの体の傾斜と全身から出ている「気」。
タロウさんはちゃんと感じていて、そしてすぐに駆け足に移行します。
タロウさんと大塚先生の、お互いの「心」と「体」のスタンスが確立した状態でのトレーニングの様子は、いつ見ても、引き込まれてしまいます。

また歩き出し、駆け足に移行するタロウさん。

トレーニングが終わり、タロウさんを停止させた大塚先生。
こんな時も大塚先生はすぐにタロウさんに近寄ったりしません。
少しの間ですが、タロウさんの全体を見つめ、タロウさんの「気」を感じ取ります。(写真下左)
それから静かに近づき「お疲れ様、タロウ。」
手前変換と歩様変換を繰り返し、神経も身体も少し疲れているだろうに、タロウさんのこのきりっとした立ち姿。
この姿が、トレーニングがタロウさんにとって幸せな時間だったことを表しています。 (写真下右)

見つめあう二人‥‥大塚先生から「お疲れ様。タロウさん」。

そして、タロウさんはスーッと頭をさげます。

大塚先生とタロウさん。
お互いの「ありがとう」を伝えます。

今回は、「タロウさんの欲求不満 Part2」というタイトルでしたが、
ここまで書いてくると、タイトルは「タロウさんと大塚先生の幸せ」の方がいいかもしれませんね。

このようなホースハーモニーは、里山学校にいらして下さった皆さまも、馬の学校の生徒さんたちも体験して頂けます。
なぜかというと、タロウさんが「それ」を求めていて、そのための皆さまとタロウさんとの絆はすでに繋がっているからです。。
いつも皆さまから優しさを受けているタロウさんからのリクエストです。
次のタイトルは「タロウさんとみんなの幸せ」ですね。(^^)

※この日のルーカスの様子はまた改めてお伝えします。
ルーカスもすごいですよ。

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