私たちが今、ここに生きていることの奇跡
目次
塩の歴史は海の歴史、それは地球の歴史
1 海のなりたち
2 海水に含まれるミネラル
塩の歴史は海の歴史、それは地球の歴史
もう、耳にたこができるほどに聞いている「減塩」、「塩分制限」という言葉。
減塩や塩分制限を否定しているわけではありません。
でもお塩は、そう安易に減らしていいものなのでしょうか。
ここでは、そんな言葉はひとまず横において、お塩というものができた背景とミネラルというものについて考える入り口をお示ししたいと思います。
1 海のなりたち
いうまでもなく、お塩は海からの恵み。
海水からできています。
でも46億年前、生まれたばかりの地球は、海は海でも、海水の海ではなく、岩石が溶融して温度が1,000℃以上のマグマの海でした。そこに存在できる生命はありませんでした。
大気も、まだ酸素はなくメタン、アンモニア、窒素、二酸化炭素などのガスなどの大気が空をおおっていました。
(※ここ、重要です。)
44億年前のことです。
地球の温度が下がり冷えてくると、原始大気の中にふくまれていた水蒸気が雨となり、何千年も地上にふりそそぐ、地球全体が大雨の時代となります。この大雨の時代が海を作りました。
原始の大気が降らす強い塩酸など酸性の雨が、地表のカルシウム、鉄、ナトリウム他、あらゆるミネラルを溶かして海に流れ込んでいきます。
(※原始の海は、生物が生存できる環境とはほど遠い、とても過酷な環境だったのです。)
そこからさらに4億年の時を経て、想像を絶する地殻変動や気候変動により、大地からさらに様々なミネラルが海に溶け込みます。
この、海水へのミネラルの浸透が、生命発生の大きな要因になり、やっと海中の過酷な環境でも生存できる限られた単細胞生物が生まれたのが44億年前のこと。
それから6億年の時を経て、海が安定し、今の状態になったのは38億年前のことといわれています。
単細胞生物が、二酸化炭素から酸素をつくる光合成菌に進化するまでさらに5億年。
そこからさらに15億年の時を経て、原始細胞が核をもつ真核細胞にします。
ここまで、ついてこれましたか?(^_^;)
そして、約8億年前、カリウムを多く含む微惑星が月や地球に大量に降ってきて、これが生命の進化を大きく後押ししました。
要は、ものすごいスケールで、気が遠くなるような長い期間、ドッカンドッカン、バーン、ザーザー、ジュゥゥゥ、ジュワァァ。ドォォォン!! これらをひたすら繰り返し、繰り返しして、やっと、小さな小さな、ほんとに小さな細胞たちが生まれ、存在できる海ができたということです。
2 海水に含まれるミネラル
海水に含まれているミネラルはすべて、海のなりたちの項にも書いたように、原始地球のマグマと大量に地球に降り注いだ微惑星、隕石からの贈り物です。
それらが長い年月をかけて酸性の雨にさらされて、海に溶け出したものがすべて海水に含まれています。
現在発見されている元素は120種類ありますが、そのうちの約60%にあたる74種類のミネラルが海水に溶け込んでいます。
そして、海水に溶け込んでいるミネラルのうち約30%は、哺乳類動物に必須のミネラル(22種類)であり、まだ解明はできていないものの、哺乳類に必須であろうと予測されているミネラル15種類も加えると、海水に溶け込んでいるミネラルのうち、実に50%が生き物の生命維持に必要なミネラルということになりますね。
つまり、私たちが口にする塩というのは本来、生き物の生命維持に必要な多様なミネラルを含んでいることが望ましいということです。特定のミネラルだけを結晶化するのはとてももったいないことだといえるでしょう。
こんなにも長い時を経て環境が整い、やっとその環境で生き物が生存できるようになったのですから。
※参考までに海に溶けている各種ミネラルの量です。(単位はトン)
あらゆる鉱物資源が天文学的な量で含まれていますね。